CFRP(UD材・クロス材・チョップ材)の選定基準
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樹脂の中でも、金属代替として軽量性と高い強度を誇るのがCFRPです。
CFRPは「異方性」の材料であり、繊維がどのように並んでいるか(UD、織物、不連続繊維)によって、強度も、成形性も、そしてCFRP加工・試作にかかるコストも大きく変化します。
本記事では、カタログスペックだけでは分かりづらい「UD材」「クロス材」「チョップ材」をどのように使い分けるべきかを解説します。
炭素繊維(CFRP)の基本特性
主要な3つの材料の特徴について解説します。
① UD材
UD材は、繊維が一方向にのみ並んでいる材料です。繊維方向の引張強度・弾性率が高く、クロス材の2~3倍になります。そのため、主な用途として、釣竿、ゴルフシャフト、ロボットアーム、補強用ビームなど、力の掛かる方向が明確な部材に使用されます。
一方で 繊維と直角方向(90°)の強度は、マトリクス樹脂の強度にのみ依存するため非常に弱くなります。そのため、0°/90°/45°といった積層設計(ラミネート設計)が必須となり、設計難易度は高くなります。
② クロス材
クロス材は、縦糸と横糸を織り込んだ材料です。平織や綾織が一般的で、「カーボン」と聞いて思い浮かべる網目模様はこれにあたります。縦横(0°/90°)のバランスが良く、取り扱いが容易です。クロス材はドレープ性があり、曲面への追従性が高いため、複雑な曲面形状の賦形に適しています。したがって、自動車の外装パネル(ボンネット、ルーフ)、ドローンのボディ、意匠性が求められるカバー類に使用されます。
一方で、繊維が交差する部分でクリンプ(屈曲)が発生するため、UD材に比べて圧縮強度や剛性が若干低下します。
③ チョップ材
チョップ材は、炭素繊維を数mm〜数cmに切断し、樹脂中にランダムに分散させた材料です。プレス成形用のSMCや、射出成形用ペレットがこれに該当します。繊維がランダムに向いているため、面内でほぼ等方性を示します。チョップ材の特徴は流動性にあり、プレス成形時に樹脂と一緒に繊維が流れるため、複雑な3D形状を成形可能です。そのため、複雑な形状のブラケット、カメラボディ、量産自動車の構造部材に使用されます。
一方で、 繊維が分断されているため、連続繊維(UD・クロス)に比べて強度は劣ります。
CFRP(UD材・クロス材・チョップ材)の比較
UD材・クロス材・チョップ材それぞれについて、設計時に考慮すべき項目ごとに比較表をまとめました。
| 特性項目 | UD材 | クロス材 | チョップ材 |
| 引張強度 (0°方向) | 高い (異方性大) | 普通 | 劣る (等方性) |
| 剛性・弾性率 | 非常に高い | 高い (クリンプ損失あり) | 普通 |
| 形状自由度 | 単純形状向き | 曲面にも対応可 | 複雑形状に対応可能 |
| 意匠性 | 黒い線状 | カーボン特有の網目 | 大理石模様 |
| 材料コスト | 比較的安価 | 加工費がかかる | 量産時にコストメリットが出る |
| 設計難易度 | 高い (積層設計必須) | 普通 | 低い |
CFRPの設計シーン別の材料選定例
実際の製品開発では、単一の材料ですべてを解決できない場合があります。そのため、最適な材料選びと、複数の材料を組み合わせる設計も重要になります。下記にその設計シーン別の材料選定例をご紹介します。
例①:薄肉プレートだが、裏面に「リブ」や「ボス」を立てたい
薄肉のプレート形状に加え、裏面に補強リブやネジ止めボスを立たせたい場合、金型の細い溝に流れ込まない連続繊維(UD・クロス)だけでは成形不可能です。こうしたケースでは、底面に連続繊維シートを配置して面剛性を担保し、リブ・ボス部には流動性に優れたチョップ材を配置するといった対策が必要です。
例②:外観は美しく、中身は強く・安く作りたい
外観性と強度・コストを両立させたい場合、表皮にクロス材、中間層にUD材を配置するサンドイッチ構造が有効です。すべてをクロス材で構成すると材料費が高騰し、逆にすべてUD材では表面の繊維剥離や意匠性が課題となりますが、上記の場合、クロス材特有の美しいカーボン柄を活かしつつ、内部でUD材による剛性確保とコストダウンを同時に実現できます。
例③:バネ性(しなり)を持たせつつ、締結部は強固にしたい
モビリティのサスペンションやアシストスーツ、機能性家具のように、CFRPの弾性を活かしたバネ性と、確実な固定性が求められることがあります。しかし、一方向の力に強いUD材だけでは、複雑な形状やボルト締結が必要なジョイント部の強度確保が困難です。そこで有効なのが、しなりが必要な可動部には繊維を一方向に引き揃えた「UD材」を配置してバネ特性を最大化し、負荷のかかる接続部には等方的な強度を持つ「チョップ材」などを配置するハイブリッド成形です。この場合、薄肉でしなやかに動きながらも、締結部は極めて強固という相反する特性を一体成形で実現可能です。
CFRP材の製品事例
上述のように実際の製品開発や複合材加工の現場では、これらを単独で使うのではなく、組み合わせて使うことが多いです。下記に、当社の製品事例を一部ご紹介します。
事例①:自動車エンジンルームの補強部品(リブ形状)
材質:UD材+チョップ材 / チョップ材

EV化に伴う車体重量増に対し、エンジンルーム内部品をCFRPへ置換して軽量化を図りました。プレス成形と切削加工により、金属では困難な深さ23mmの薄肉リブ構造を実現し、高剛性を確保しています。表層にはUD材を配置し強度を最適化。また、事前に3Dプリンターで原寸モデルを作成・検証することで、高価なCFRP材料のロスを防ぎ、効率的な開発を実現しました。
事例②:座椅子(深絞り形状)
材質:UD材+チョップ材 / チョップ材 / クロス材

難易度の高い深絞り形状を、独自の金型技術を用いたプレス成形で実現しました。通常4~6mm必要な肉厚を、CFRPの特性を活かし全面2mmまで薄肉化。腰部にはUD材を配置して強度と形状剛性を確保し、快適な「しなり」と細身のデザインを両立させました。3種の材料(UD・チョップ・クロス)を適所に組み合わせ、1ショットで成形しています。
CFRPの成形の試作は当社にお任せください!
CFRPは、材料選定ひとつで、製品のパフォーマンスも製造コストも大きく変わります。
例えば、強度が欲しいなら UD材、意匠と曲面ならクロス材、複雑形状なら チョップ材といった使い分けがポイントです。これらを適切に組み合わせる設計や、製造プロセス選定が重要です。
当社では、樹脂加工で培った高度な技術を活かし、CFRP・複合材の切削加工から成形品の試作まで幅広く対応しております。「どの材料を使えばいいかわからない」という段階からでも、ぜひお気軽にご相談ください。
大型樹脂成形
複合材料の試作・圧縮成形プレス金型製作
自動車内装用 樹脂プレス圧縮成形同時トリム金型の 設計・製作
