強度不足や反りを防ぐ!CFRPの「繊維配向」と強度を高めるポイント
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「金属部品と同じ形状でCFRP化をしたが、想定した強度が出ない」
「CFRP部品の設計をしているが、反りを防ぐためにはどう設計したらよいか分からない」
複合材料や樹脂成形品の設計をする上で、このような課題に直面した経験はございませんでしょうか?
金属部品の設計をそのままCFRPの図面に適用してしまうと、こうした手戻りやトラブルに直面することが少なくありません。その最大の原因は、CFRP特有の「繊維配向」にあります。
以前、複合材料の基本特性として繊維方向を一部お伝えしましたが、今回は設計段階の図面でどう工夫すれば、狙い通りの強度を引き出し、反りなどのトラブルを防ぐことができるのか。 複合材料の繊維配向の観点から解説いたします。
なぜ金属と同じ設計では失敗するのか
金属材料は、どの方向から引っ張っても強度が同じ「等方性」を持っています。そのため、設計者は基本的に「形状」と「肉厚」で強度を担保することができます。
しかし、CFRPは炭素繊維の方向に向かって強い強度を発揮し、それ以外の方向には弱いという「異方性」を持っています。つまり、いくら肉厚を厚くしても、荷重がかかる方向に繊維が正しく配置されていなければ、簡単に割れや強度不足を引き起こしてしまうのです。
また、成形時に金型内で樹脂が流動する際、繊維の向きが不規則に乱れると、冷却時に収縮差が生まれ、それが「反り」や「変形」の直接的な原因となります。
複合材料で強度を高める3つの設計ポイント
では、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。金型製作や成形時のトラブルを未然に防ぎ、強度を高めるためのポイントを3つご紹介します。
ポイント①:荷重方向を材質ごとに異なる繊維方向と合わせる
製品に「どの方向から」「どの程度の」荷重がかかるのかを明確にした上で、最適な基材を選定し、積層構成を設計することが重要です。CFRPは、主に以下の3つがあり、それぞれ繊維の方向と強度の出方が異なります。設計時には、材料毎の特性を理解した上での、製品設計を行います。
・UD材(一方向材): 繊維が1方向にのみ引き揃えられた材料で、繊維方向に対しては最大の強度を発揮しますが、それ以外の方向には弱いのが特徴です。特定の方向に強い荷重がかかる梁のような部品に適しています。
・クロス材(織物材): 縦横(0度・90度)に繊維が織り込まれた材料で2方向に対してバランスの取れた強度を持ち、板状の部品や緩やかな曲面を持つ外装部品などによく使われます。
・チョップ材(短繊維材): 短くカットした繊維をランダムな向きに分散させた材料で複雑な3次元形状(例:リブやボスなど)への賦形性に優れており、どの方向に対しても比較的均一な強度を得やすいのが特徴です。連続繊維ほどの絶対的な強度は出ませんが、複雑な形状の量産品に適しています。
ポイント②:急激な肉厚変化を避ける
金型内で材料が押し潰されて流れる際、急激に肉厚が変わる形状があると、そこで樹脂の流動速度が急変します。これにより繊維が千切れたり、不自然な方向に曲がったりしてしまいます。可能な限り、滑らかで均一なテーパー形状を心がけることで、繊維が綺麗に流れ、応力集中を防ぐことができます。
ポイント③:コーナー部には十分なR形状を設ける
直角に近い鋭いコーナー形状は、CFRPの成形において避けるべき形状です。繊維がコーナーに沿って曲がりきれず、樹脂溜まりができたり、繊維が破断したりして強度が著しく低下します。設計段階で可能な限り大きめのR形状を設けることで、繊維が形状に沿ってスムーズに配置されます。
「強度剛性解析」を活用した機能性の向上
上記のような設計上の工夫を行ったとしても、「複雑な3次元形状において、実際に成形した時に繊維がどう流れ、最終的にどう配向するか」を頭の中だけで完全に予測することは難しいです。
設計いただいた3Dデータをもとに、金型内で樹脂がどのように充填され、繊維がどの方向に配向するかをシミュレーションします。これにより、
「この形状だと、ここにウェルドラインができて強度が落ちるため、ゲート位置や形状を見直しませんか?」
「反りを抑え、より安価に成形するために、この部分のRを少し大きくできませんか?」
といった、データに基づいた製品設計が可能です。
当社の強度剛性解析による加工事例
自動車エンジンルームの補強部品(リブ形状)
材質:UD材+チョップ材 / チョップ材

EV化に伴う車体重量増に対し、エンジンルーム内部品をCFRPへ置換して軽量化を図りました。プレス成形と切削加工により、金属では困難な深さ23mmの薄肉リブ構造を実現し、高剛性を確保しています。表層にはUD材を配置し強度を最適化。また、事前に3Dプリンターで原寸モデルを作成・検証することで、高価なCFRP材料のロスを防ぎ、効率的な開発を実現しました。
また本事例は、強度剛性解析を行っております。事前に強度剛性解析を実施してリブの有効性を検証し、解析結果から最適な配置を導き出すことで、更なる軽量化と剛性アップを実現しています。
CFRP・樹脂成形はお任せください!
「図面通りに作ってほしい」というご依頼はもちろん大歓迎ですが、構想段階や初期設計の段階でご相談いただければ、手戻りをなくし、トータルコストを下げるための「CFRPや樹脂成形品の最適な設計」を行うことができます。
「図面を引いてみたが、CFRPの成形性として問題ないか不安」「金属部品からの置き換えで最適な形状を提案してほしい」など、CFRP・樹脂成形に関してお悩みの際は、ぜひお気軽に当社へご相談ください。
大型樹脂成形
複合材料の試作・圧縮成形プレス金型製作
自動車内装用 樹脂プレス圧縮成形同時トリム金型の 設計・製作
