
熱硬化性樹脂の種類
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フェノール樹脂
フェノール樹脂(Phenol Formaldehyde Resin/PF:ポリオキシベンジルメチレングリコールアンハイド ライド)はベークライトとも言われ、フェノール類とアルデヒド類に触媒を加えて付加縮合反応を起こして得る多価メチノールフェノールです。世界で初めて植 物以外の原料から作り出されたプラスチック素材で、熱硬化性樹脂の中で最も生産されている樹脂であり、加熱方法や混合割合により熱硬化、熱可塑の異なる特 性をもつ樹脂を作ることができます。
自動車・鉄鋼関連用としてその優れた耐熱性、耐久性から幅広く使用されており、鉄鋼関連用途では耐火物の製造に使用されています。成形複合製品 では優れた耐熱性・機械的強度を有し、フィルター用、セパレーター用、塗料用、積層用、バインダー用などの様々な含浸用途に使用されています。住宅関連で は環境調和型フェノール樹脂が、環境対応としめ低フリーフェノール型樹脂などもあります。
フェノール樹脂の種類
フェノール樹脂は「ノボラック型」と「レゾール型」という種類に分かれます。
ノボラック型とは、酸触媒下で反応させることで得られる熱可塑性樹脂です。
レゾール型とは、アルカリ媒を用いて得られる熱硬化性樹脂です。
■メリット
・電気絶縁性がある
・耐熱性を持つ
・断熱性が高い
・難燃性である
・寸法安定性に優れる
・高接着性を持つ
・耐酸性に優れる
・成形性に優れる
■デメリット
・耐アルカリ性に弱い
・耐衝撃性が高いわけではない
・毒性があるため分解温度に注意する必要がある
ウレタン樹脂
ウレタン樹脂(PU樹脂/ポリウレタン/Polyurethane)はウレタン結合(イソシアネートとアルコールによって形成されるカーバメー ト結合)によって形成されるポリマーの総称です。使用するポリイソシアネートとポリオールの性質によってさまざまな物性のポリウレタンを合成することが可能で、軟らかいものから硬いものまで様々な種類が存在し、接着性や耐摩耗性に優れおり、発泡体としても活用されています。熱可塑性、熱硬化性の双方の性質 を得ることが可能です。
ウレタンは発泡体の場合であればクッション、自動車などのシート、断熱材、スポンジ類、コーキング材として用いられます。非発泡体であれば、パッキン・ベルト、塗料、防水材に用いられます。
■メリット
・耐油性に優れる
・耐薬品性が高い
・耐久性が高い
・クッション性に優れる
・機械的強度に優れる
・低温特性がある
・耐摩耗性がある
・耐侯性がある
■デメリット
・耐熱性が低い
・耐水性が弱い
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は、エンジニアリングプラスチックに分類される熱硬化性樹脂です。単体の反応ではなく、様々な硬化剤と混ぜることで反応します。硬化剤の種類や量によって様々な物性に変化し、様々な特性を引き出すことができます。副産物を出さない特徴があります。
エポキシ樹脂はその硬化特性から接着剤や塗料としての用途で使用され、高い電気絶縁性・耐水性・耐食性によりコーティング剤や建築素材、接着剤 などとしても使用されます。その活躍の場はエレクトロニクス、食品、船舶、航空宇宙産業、スポーツ用品、複合材料としてや3Dプリンター用材料など多岐に渡ります。
■メリット
・耐水性が高い
・耐腐食性に優れる
・耐熱性が高い
・耐薬品性に優れる
・耐湿性に優れる
・耐候性が高い
・絶縁性に優れる
・接着性に優れる
・柔軟性がある(性質変化が多様)
・寸法安定性に優れる
・機械強度が高い
■デメリット
・紫外線により劣化する
・低温下では固まるまでに時間を要する
・靭性は高くない
不飽和ポリエステル樹脂
ポリエステルとは、エステル結合を持つ高分子化合物です。そのポリエステルには2種類あり、1つは飽和ポリエステル、もう1つ は不飽和ポリエステルです。
飽和ポリエステルは、熱可塑性・無反応性・不飽和酸を含まないなどの特徴を持っており、PBT・PET・飽和ポリエステル・アルキッドなどがあります。不飽和ポリエステルは、スチレンに代表される架橋性モノマーに溶解した熱硬化性樹脂です。
ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維で強化したFRP(Fiber Reinforced Plastics)用途と、注型・塗料等の繊維強化せずに使用する非FRP用途があります。
常温硬化には、過酸化物触媒と促進剤の併用される。加熱硬化は、中温硬化系と高温硬化系に分けることができます。
■不飽和ポリエステル樹脂の用途
・樹脂の粘度が低く、強化繊維への含浸性に優れる。種々な成形方法に対応可能。
・硬化時に揮発性の副生成物が無い
・硬化後は機械 的性質、電気的性質、耐水性、耐熱性、耐薬品性に優れる
・耐薬品性に関して、酸に強いですが、アルカリに弱い
・電気的特性に優れており、塗料や接着剤に使用される
・常用できる耐熱温度は130~150℃、比重は1.1から1.4といわれる
・成形収縮率が低い
・寸法安定性が高い
・低圧力で成形でき、成形性が非常に良い
■不飽和ポリエステル樹脂を用いた成形材料
・SMC (Sheet Molding Compound)
不飽和ポリエステル樹脂に各種充填材と添加剤を配合した樹脂ペーストに、所定の長さにカットしたガラス繊維を含浸させた成形材料でシート材料で、圧縮成形が可能。材料製造時にも成形時にもガラス繊維の損傷を受けないため成形品の強度が高くなります。
・BMC (Bulk Molding Compound)
不飽和ポリエステル樹脂に各種充填材や添加剤を配合し、ガラス繊維を混練機にて含浸させた成形材料で塊形状であり、インジェクション成形・トランスファー成形・圧縮成形が可能です。材料製造時の混錬と成形時の成形機内における混錬によってガラス繊維を損傷するが寸法精度が高くなります。
シリコン樹脂
シリコンとはケイ素(Si)のことを指す言葉です。ケイ素とは元素の一種で、地球上では酸素に次いで多く、自然界や体内のあらゆるところに存在します。
シリコン樹脂はこのケイ素を原料とした樹脂化合物です。シリコンはケイ素であり、シリコン樹脂はシリコンを原料とした化合物です。
■メリット
・安全性が高い
人体に無害で用途の幅が広く、食品衛生法による適合品としても認められています。
・耐熱性と耐寒性が高い
250℃までの高温や-60℃の低温にも耐えることができます。
・電気絶縁性が高い
電子部品などで多用されています。
・表面張力が高く、撥水性・消泡性・離型性(非粘着性)に優れる
多くの素材にくっつかない特性を持つが、ガラスにはくっつきやすい性質を持ちます。
・耐候性が高い
酸素やオゾン、紫外線などに対する高い特性を持つため屋外でも利用できます。
・耐薬品性・耐溶剤性に優れる
劇薬や有毒物質にも強い特性があります。
・耐油性は100℃以上の環境のみ高くなる
・熱伝導率が低い
・高い撥水性を持つ
・化学反応性が低い
■デメリット
・引張り強さや引き裂き強さなどの強度が低い
・耐磨耗性が低い